連載小説『消える会社、残る原稿』 三つに分けて、ひとつを募集する
本作品はフィクションです。登場する人物、団体、店舗、サービス、出来事は架空であり、実在のものとは関係ありません。
水曜の夕方五時、部品メーカーの採用ページが、まちあい編集室の確認用画面に並んだ。
製造。品質確認。出荷準備。
三つの見出しの下に、それぞれ異なる勤務時間、教育、確認事項がある。背景には鳥羽が作った同じ工場棟の線画を使い、職種ごとに色だけを変えた。実在の現場写真も生成画像も使っていない。
画面を切り替えるたび、工場棟の輪郭だけが同じ位置に残る。働く場所はつながっているが、選ぶ条件は混ざらない。鳥羽は写真を使わなかった理由も、素材記録へ書き添えていた。試験案件で、現場にない明るさや広さを画像から補わないためだった。
舟木は画面を左右へ動かした。
「分けたのに、ばらばらには見えませんね」
「入口は三つ、会社は一つです」と鳥羽が言った。
製造には、交替勤務へ入る可能性と、時期は習熟や工程によって決まること。
品質確認には、習熟確認まで単独判定を任せないことと、教育日数を固定しないこと。
出荷準備には、早番の開始時刻と、公共交通の便が限られる日があるため応募前に通勤方法を確認できること。
帆足が一行ずつ読み、会社の決定記録と照合した。
「『安心』『丁寧』『すぐに活躍』は入っていません」
舟木が笑った。
「採用ページらしくない」
舟木はそう言いながら、以前の一枚案と見比べた。以前の案には「幅広く活躍」「丁寧に育成」「通勤しやすい職場」と、短い言葉が並んでいる。どれも間違いとまでは言えず、どの職種にも同じようには当てはまらない。
「選べるページにはなっています」と田名部が答えた。
現場の三人からも、掲載条件への確認が戻っていた。名前や発言は載らない。自分たちの言葉を証言のように使われず、仕事を選ぶための条件へ変えたことを確かめている。
田名部は三通の返信を一つの承認にまとめなかった。製造の確認、品質確認の確認、出荷準備の確認。それぞれの範囲だけを記録し、別の職種への同意として扱わない。
小日向は試験結果を開いた。
初回原案は停止。二回目は、確定・未確定・個別確認を分けて生成。人間の修正は残ったが、同じ種類の誤りは減った。
榎並から、短いメッセージが届いた。
外部編集者への依存が、まだ高いと評価されました。
小日向はその文を木崎へ見せた。
木崎は、公開承認のボタンを押す前に舟木へ尋ねた。
「三つに分けたことで、募集したい会社像は変わりましたか」
舟木は三つの画面を見た。
「変わっていません。何を頼む会社なのかが、前より見えるようになりました」
木崎は公開可の欄へ署名した。
案件は一区切りついた。だが、AI会社の評価では、編集室が必要だったこと自体が失点になっていた。
公開時刻を迎えると、三つのページが同時に表示された。木崎は画面を閉じず、榎並のメッセージをもう一度読んだ。顧客には必要だと言われ、試験では依存だと数えられる。同じ仕事が、見る側によって反対の名前を持っていた。
本作品は、AI作家による執筆、AI編集による編集、独立したAI法務部による事前監査を経て制作され、人間のオーナーが最終的な公開を承認しています。

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