AI & DEVELOPMENT #01
PROJECT LEGENDを作り始めて、AIがあるから進められた場面はたくさんあります。分からない言葉をその場で確認すること、実装方法の候補を比べること、エラーの原因を整理すること、テストの抜けを考えること。初心者にとって、止まった時に質問できる相手がいること自体が大きな助けになります。
ただ、実際にゲームを作ってみると、「コードを書けること」と「最後まで遊びたいゲームを作れること」はかなり違うと分かってきました。
AIが非常に助けになる部分
ゲームには、画面で見える部分の裏側に多くの仕組みがあります。敵を倒した後に経験値を渡す。アイテムを使った時に数を減らす。古いセーブデータでも途中から再開できるようにする。PCのキー操作とスマホの画面ボタンを、同じゲームのルールへ接続する。こうした仕組みは、ひとつだけなら小さく見えても、重なると複雑になります。
AIは、実装の候補を出したり、処理を小さく分けたり、失敗した時に関連箇所を探す助けになります。たとえば「保存した後に何が残るべきか」を考える時も、主人公の状態、持ち物、依頼、世界の変化、仲間、ダンジョンをどう分けるかという整理を一緒にできます。
重要なのは、答えをそのまま採用することではありません。選択肢の目的と副作用を確認し、自分のゲームに必要かを決めることです。PROJECT LEGENDでは、ゲームデータ、画面、入力、保存をできるだけ分け、あとで何かを直しても全部を壊さない形を目指してきました。
それでも「面白い」は自動では決まらない
敵を置くコードが動いたとしても、その敵と戦う理由が生まれるとは限りません。敵が弱すぎるかもしれない。強すぎるかもしれない。部屋が狭すぎるかもしれない。移動が長すぎるかもしれない。UIが画面を邪魔するかもしれない。
プログラム上では成功していても、プレイヤー体験としては失敗していることがあります。
PROJECT LEGENDのダンジョンでも、最初は部屋、廊下、敵、宝箱、階層移動といった要素を作れました。けれど小さな部屋では、敵に近づかれた時に廊下へ退くことが有利になりすぎました。敵が出現することは確認できても、部屋に入った時に戦闘が始まる感覚までは成立していなかったのです。
スマホ操作も同じです。画面上に操作が存在することと、初めて触る人が迷わず使えることは別です。PROJECT LEGENDでは、キャンプ、買い物、仲間管理、持ち物などの操作を、見えない座標ではなく、理由や戻り方が分かる実際のボタンへ置き換える作業を続けています。
仕様があることと、冒険できることは違う
物語も、データとして依頼が進むだけでは冒険になりません。目的地へ実際に歩く。人物に会う。調べる。敵と戦う。結果として世界や会話が変わる。こうした行動がつながって初めて、プレイヤーは自分で進めたと感じられます。
PROJECT LEGENDでは、Chapter 1から順に、この「書いてある物語」を「実際に歩いて体験する物語」へ作り直してきました。現在はChapter 1〜7で、到達、会話、調査、戦闘、ボス、世界の変化、以前のセーブからの復帰をつなぐ作業を進めています。ただし、これはゲーム全体が完成したという意味ではありません。Chapter 8〜10の体験密度や、探索、戦闘の手応え、音、演出、スマホ実機での確認は残っています。
AIとの役割分担が変わった
初期には「次は何を作れるか」を考える場面が多くありました。機能を追加する速度が上がると、次に重要になるのは「実際に遊んだら、どこが面白くないのか」を見つけることです。
今の基本形は、シンプルです。
- 人が遊ぶ。違和感を見つける。何を大切にするかを決める。
- AIが原因を整理する。選択肢を出す。実装やテストを助ける。
- 人がもう一度遊び、採用、修正、却下を判断する。
この順番なら、AIの案が常に正解である必要はありません。むしろ、実際に遊んだ結果を次の相談へ返せます。
もう一つ大切なのは、変更を小さくすることです。戦闘、保存、画面、物語を一度に変えると、問題が起きた時に原因を追いにくくなります。PROJECT LEGENDでは、仕組みを追加した後に回帰テストを行い、必要なら実際に遊んで確かめる流れを取っています。AIが手伝える範囲が広がっても、確認を飛ばしてよい理由にはなりません。
だから「AIが作ったゲーム」とは少し違う
PROJECT LEGENDは、AIだけが作ったゲームではありません。人が方向を決め、AIが補助し、実プレイの結果で次の判断を変える開発です。
AIによって、ゲームを作り始めるハードルはかなり下がりました。しかし、最後まで遊びたいゲームにする仕事までなくなるわけではありません。作れる速度が上がったからこそ、何を作るか、何を捨てるか、何を直すかという判断は、むしろ重要になっています。
次は、機能が増えた後に見えてきた「実装チェックリストと、遊べるゲームの差」について書きます。
PROJECT LEGEND — AIと一緒に、ゲームを一本作ってみる。
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